>>81 山本太郎と改憲
◆憲法改正の「本丸」は緊急事態条項
──憲法という言葉が出たので、そこについての意見も聞かせていただきたいと思います。『僕にも~』でも憲法学者の木村草太さんと対談されていますが、太郎さん自身は、安倍政権が進めようとしている「改憲」についてはどうお考えですか。
山本 改憲というと、やはりよく語られるのは9条についてだと思いますが、私は安倍政権がいう「9条改憲」は、ある意味「ダミー」だと思っています。
──どういうことですか?
山本 実は、2015年に安保法制が成立した時点で、9条はすでに反故にされている。憲法を飛び越えた、明らかに違憲の内容の法律がつくられてしまったわけですから。あえて憲法を変えて自衛隊の存在を明記しなくても、事実上、集団的自衛権の行使も容認されているわけです。
だから、「9条改憲」はあくまでダミーに過ぎなくて、政権の本当の狙いは「緊急事態条項」をつくることだと思っています。これがあれば、極端にいえば選挙もしなくていい、国会を通さずに法律がつくれて、予算も自分たちだけで管理できて、地方自治体も思うがままにコントロールできる。そうなればもう、9条がどうであろうが関係ない、そういう世界にされちゃう恐れがある。
──ただ、まずは「自衛隊の存在を明記する」という9条改憲案が出てくる可能性もあると思いますが、その場合はどうしますか。
山本 私は、「絶対に憲法を変えてはならない」と考えているわけではありません。変えなきゃならない時はあるだろうと思うし、安保法制成立のときのような、詐欺みたいなことができないような文言に直す、そういう改憲は必要なのかもしれない、と思っています。
──今は、「憲法改正が……」なんて話すと、「危ないやつ」みたいに言われかねないですからね。
山本 「このド左翼が!」とかね(笑)。本来、憲法と左翼は何の関係もないんですけどね。左翼でも右翼でも、誰もがどちらの立場でもいられる権利を守るために憲法というものがあるんだと思います。
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