>>2のつづき
事故以降、母親は娘を「一家の稼ぎ頭」と描写するマスコミの報道に怒りを覚えた。娘は自ら夜間勤務を「選んだ」わけではないからだ。
「人手がない中、娘が仕事もできて優しいから夜間組に投入しようと、会社側がほぼ強要するように迫ったようです。人手を補うため、ほとんど半強制的に投入されたんです」。
実際、事故以後、民主労総全国化学繊維食品産業労働組合は17日、記者会見を行い、「夜間勤務の人員が足りず、会社に補充要請をしたが受け入れられなかった」として、劣悪な夜間人材状況を暴露した。
葬儀を行う間、葬儀場にはSPCグループのホ・ヨンイン会長など多くの会社関係者が訪れた。 しかし、誰もなぜ娘が一人で働いて事故に遭ったのかは説明してくれなかった。
「なぜその機械には安全装置がなかったのか、なぜ2人1組というマニュアルが守られなかったのか、説明してくれる人は誰もいません。
機械に安全装置を取り付けるのがそんなに大変なのでしょうか。労働者を機械とみなさない限り、そのような機械で働けとは言えないと思います」。
母親は一週間前にも従業員が機械に挟まれる事故があったこと、それ以前にも無数の事故があったことを全く知らなかった。
「事故が頻繁に起きるところで子どもを勤務させたい親はいません。娘は心配されると思って言わなかったようですが…。
そんなことがあるのをもっと早く知っていれば、あの会社に就職すると言った時、どんな会社なのかもう少し調べればよかった」。
母親の無念が後悔を募らせる。
パン好きだった娘は、死ぬ日までパンを作っていた。そして今もSPLの工場では劣悪な労働環境の中で労働者がパンを作っている。
「いつも事件が起きているのに、何も変わっていないじゃないですか。どうかこんなことが起きないようにしてほしいです。
会社に望むことは一つしかありません。働く労働者のために最小限の勤務環境を作ってほしいということ。労働者の安全が確保されていない環境で作られたものは買わないでほしい。
(事故に遭うのは)うちの娘が本当に最後になることを願っています」