<社説>阪神大震災から28年 有事の前に災害に備えよ
6434人が亡くなった1995年の阪神大震災から28年を迎えた。犠牲者を悼み、防災の誓いを新たにしたい。
2011年の東日本大震災、16年の熊本地震など地震災害はその後も続き、豪雨災害も毎年のように起きている。これらにどう備えるのかが問われ続けてきた。ところが今、日本は隣国を「脅威」と位置付け、膨大な予算を費やし戦争への備えを猛スピードで進めている。災害からの復興も対策も道半ばなのに、それでいいのだろうか。
<中略>
沖縄県民や観光客が安心できる防災対策は急務だ。
それにもかかわらず、沖縄周辺は、南西諸島での戦闘を想定した「台湾有事」一色に染められようとしている。住民は不安を強めざるを得ない。
石垣市は、有事の際、竹富町と合わせ住民、観光客6万5千人余の避難に1日延べ45機の航空機を使って約10日かかると想定している。ミサイル攻撃を想定した避難訓練を実施した与那国町では、島外に避難する住民を支援する基金を設置するという。
仮に住民の輸送が可能だとしても、避難者の居場所はどうするのか、いつ戻れるのか、補償はどうなるのか。どう考えても現実的ではない。
隣国を敵視して一触即発の事態となり戦争を招けば、それは人災に他ならない。軍拡競争に走ること自体が、国民の安全に逆行する。
気象災害を防ぐことは難しく、大規模地震の予知は困難だ。あす起きてもおかしくない災害こそが、備えるべき「脅威」だ。戦争を起こさない政治・外交に全力を尽くし、防災、子育て、教育、福祉、経済対策にこそ予算を投じるべきだ。
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