2023.02.05 (08:00)
国連人権理事会による日本の人権状況に関する審査が1月31日、スイス・ジュネーブで行われ、日本政府に対し、朝鮮など各国から勧告が相次いだ。朝鮮は、在日朝鮮人と朝鮮学校に対する日本政府の差別政策を問題視し、早急な是正を求め勧告した。
「普遍的定期的レビュー(UPR)」と呼ばれる同審査は、国連人権理事会のもとに設定された審査制度で、国連の全加盟国(193ヵ国)が対象。4年半に1回のペースで行われ、審査対象となる国を、その他の国が審査する仕組みだ。対日審査はこれまで、2008年5月、2012年10月、2017年11月に行われ、今回で4回目となる。
1月31日に行われた第4回審査では、日本政府が、再三にわたり勧告されてきた国内人権機関の設置、ヘイトスピーチ対策などについて、ドイツやフランス、ベネズエラ、リベリアなど各国からの非難が集中した一方、朝鮮はこの日、高校無償化からの朝鮮学校排除など在日朝鮮人の人権状況と、強制労働など日本の国家的犯罪に対する謝罪および賠償を求める勧告を出した。
パン・グァンヒョッ国連駐在朝鮮次席大使は、会合の場で、「日本における継続的、組織的、広範な人権侵害に深い懸念を表明する」としたうえで、5つの勧告内容について読み上げた。
同勧告は、日本政府に対し、▼日本が戦前・戦中に犯した性奴隷制や強制労働などの人道に対する極悪犯罪について、痛切な反省と心からの謝罪、法的賠償を通じて国家責任を追及するための具体的措置をとること、▼在日朝鮮人が公共の場で自らのアイデンティティを表現できるよう、マイノリティを標的としたヘイトスピーチや人種差別的犯罪を禁止する法律を制定すること、▼朝鮮学校に対して「授業料無償化措置」「就学支援金制度」およびその他の補助金支給を差別なく適用し、平等な扱いを確保するための措置を講じること、▼性的搾取を目的とした人身売買や国内での強制失踪の増加など、社会悪の行為をすべて撤廃すること、▼政治的言説やソーシャルメディアにおいて、過去の人道に対する犯罪の歴史を美化したり歪曲したりすることをやめること―を強く求めた。
高校無償化からの朝鮮学校排除と関連しては、2017年の第3回審査に続き、2回目の勧告となる。第3回審査では、朝鮮、ポルトガル、パレスチナ、オーストリアの4ヵ国から、高校無償化制度を朝鮮学校にも適用するよう求める趣旨の勧告が出ていた。
これに対し、日本の政府代表団は、「憲法14条がすでに法の下の平等を保障している。これはすべての人に適用される」(在日朝鮮人などマイノリティの権利を含む差別問題)、「教育の権利自体はすべての子どもが保障されている。母国語での教育など、マイノリティの教育機会を奪ってはいない」(マイノリティの子どもの教育の権利問題)などと、これまでと同様の主張を繰り返し、各国からの勧告を事実上無視する姿勢を決め込んだ。
https://chosonsinbo.com/jp/2023/02/05-88/