まともな食料生産を潰して武器とコオロギで飢える愚かさ
「お金を出せばいつでも食料や生産資材が輸入できる」のが、ますます当たり前で
なくなってきている中、国民の命を守るには、国内の食料生産をしっかり確保する
必要があるとの危機認識が当然のはずが。
しかし、肥料、飼料、燃料の暴騰で農家の生産コストが膨らむにもかかわらず、
農産物価格はあまり上がらず、酪農、畜産、稲作をはじめ、農家は赤字とローン
返済不能にあえぎ、廃業が激増している。自ら命を絶つ人も後を絶たない。
生産基盤を増強しなくてはならないときに、コメ作るな、牛乳搾るな、牛殺せ、
ついには生乳廃棄で、「セルフ兵糧攻め」のようなことをやっている。限界を超えている。
それなのに、増税してでも防衛費は5年で43兆円に増し、経済制裁の強化とともに、
敵基地攻撃能力を強化して、攻めていくかのような議論がますます勇ましく行われている。
そればかりか、まともな食料生産の苦境の深刻化を放置したまま、昆虫食には
SDGs関連で莫大な予算が計上されるとの情報もある。しかも、学校給食で
コオロギが出されて物議をかもしている。
イナゴの食習慣は古くからあるが、コオロギは未知の部分が多い。子供達を「実験台」に
してはならない。戦後の米国の占領政策による学校給食や今年からのゲノム
トマトの学校への配布と同じようなことにしてはならない。
まともな食料生産振興のための支援予算は長年減らされ、現在の農水予算は
総額2.3兆円なのに、武器には毎年10兆円以上、昆虫食推進にも莫大な予算を
付けるのだろうか。正気の沙汰とは思えなくなってきた。
まともな食料生産振興にはお金は出せないと言い、コスト高で苦しむ農家を放置して、
「農業消滅」を進めながら、利権絡みのコオロギ食振興に莫大な予算を投入するとしたら、
日本の農家だけでなく、日本国民はこれを許容できるのか。
コメを減産し、乳牛を殺し、牛乳を廃棄し、トマホークとコオロギをかじって
生き延びることの愚かさを真面目に考えてほしい。
農業協同組合新聞 2023年3月2日
https://www.jacom.or.jp/column/2023/03/230302-65078.php