>>91 >サンフランシスコ講和条約の発効(1952年)に際しては、在日コリアンは国籍選択権を与えられず、一方的に「日本国籍」を剥奪されました。
在日コリアンとは、主に降伏文書調印(1945年9月2日)以前に日本に移り住んだ朝鮮半島出身者とその子孫のことです。
朝鮮民族は日本の植民地統治によって国権を奪われ、「日本国籍」所持者とされていました。
しかし、日本国憲法施行(1947年5月3日)の前日に施行された外国人登録令により、
在日コリアンは日本国籍を有したまま「当分の間外国人と見なす」とされ、
外国人登録の「国籍」欄には「朝鮮半島出身者」を意味する符号として「朝鮮」と記載されました
(その後、「韓国」国籍への書き換えだけが認められ、書き換えをしていない、いわゆる「朝鮮籍」の人は無国籍の状態です)。
その後、サンフランシスコ講和条約の発効(1952年)に際しては、在日コリアンは国籍選択権を与えられず、一方的に「日本国籍」を剥奪されました。
このため、在日コリアンは日本国憲法の枠外に置かれ、長らく国民健康保険や国民年金にさえ加入できない無権利状態が続いていました。
かつて、植民地時代には「皇国臣民」として「国語」(=日本語)使用を強要されました。
さらに「創氏改名」政策で日本式氏名を名乗らされて民族的尊厳を蹂躙され、果ては徴兵・徴用されて多数の犠牲を強いられました。
しかし、戦後日本はいろいろな権益から在日コリアンを冷たく排除したのでした。
今では在日コリアンのほとんどが日本生まれで、日本の地に愛着を抱き、今後とも日本社会で生きていく人々です。
それにもかかわらず、ネット上では民族的尊厳を傷つける侮辱的で排外的なことばが乱舞し、在日コリアンをひどく傷つけ苦しめています。
こうした匿名による理不尽な精神的暴力にさらされつつも、在日コリアンは民族的プライドを守り続けるために、日夜緊張した日々をすごしています。
在日コリアンも日本の社会を構成する立派な市民です。私たちは異なる民族の人間的尊厳を傷つけず、市民的権利を侵害しないようにしてこそ、
日本を多民族・多文化共生社会に発展させることができるのではないでしょうか。
ネットリテラシーと教養を養い、民族性や人格を傷つける言動には毅然とした姿勢で生きてほしいと思います。
出典:関西大学