「破産者情報サイトは、破産者への差別を助長していると思いませんか?」よく聞かれる質問の1つだ。「差別を助長しているとは思わない」それが私の答えだ。
破産者の氏名や住所の情報は、破産法第10条の規定に基づき官報で公告され、誰もが知ることができる情報であるし、破産法第51条の規定により、国民の誰もが、破産者の情報を知っているとして法的な取り扱いがなされる情報である。
「破産した」情報そのものが、破産者への「差別」であると主張する人がいるが、破産者情報そのものが、破産者への「差別」を招くというのであれば、破産法第10条を改正し、破産者の「官報公告」をやめるべきだろう。
2022年3月23日、個人情報保護委員会が、破産者情報通知サービスに対し、サービス停止をするよう「命令」した。
私はこの国の命令が破産者に対する差別を、少なくするどころか、より一層助長していると感じている。
私は「破産者」からメッセージをもらうことも多く、お話する機会も多いが、その経験から言えるのは「破産者」の99%は、ごく普通の市民である。
様々な事情や背景はあるが、ごく普通の市民である。
破産者のデータを分析するとよくわかるが、ある一定の年月がたった集合住宅には、破産者がいることは当たり前だし、大型の団地になると2桁の数の破産者がいることも珍しくない。
破産者の住所を町丁・字単位で分けても、必ず数人は破産者がいる。「破産者」の職業も、公務員、消防士、医師、司法書士、社労士、銀行員、保険会社、小学校の先生、法学部の先生、大学の教授。。。ありとあらゆる職業に及ぶ。
「破産」は、決して珍しいことではない。
「差別」は、「破産者」を「個人」としてとらえるのでなく、「破産者」という「集団」で「個人」を価値判断をすることで生まれるものだと思う。官報で公告されている「破産者」の情報を隠し、人目に触れないようにすればするほど、「破産者」に対する偏見や差別は、より一層助長されるように思う。
「破産者差別」が起きないよう、国は「破産者情報」の官報公告をやめるか、反対に「破産者情報」の検索性、視認性をあげ「破産は珍しいことではない」との認識を国民に広めるべきだと思う。